朝のゴミ出しを終えて職場に向かう途中、近所の柿の木の枝が不自然に折れているのが目についた。

何か強い力でへし折って、さらに木の枝の股に引き寄せたような特徴的な折れ方。これは「熊棚」だ!林野庁や森林総研、自治体などの資料で目にして日頃から探しながら運転していたが、こんな近場にあったとは。
熊鈴を鳴らしながらゆっくり木の根本に接近したところ、地面には無造作にへし折られた枝が打ち捨てられており、枝についたままの柿の実が食い散らかされていた。これはほぼクマで確定だろう。

幸い、この柿の木の所有者とは知り合いだった。明るいうちに対処しようと思い、会社を早退して所有者に情報共有。一緒に現地を確認し、熊棚だけではなく幹についた無数の爪痕と糞も発見した。糞は鮮やかな黄色で、柿の種が含まれていた。クマは食べたものをほとんどそのまま排泄するというのは本当だったのか。


今後の対応に支障が出るといけないので詳細は伏せるが、速やかに対応が進んだ。本州において「個」として最強の動物であるツキノワグマに対し、個々は非力でも分業で立ち向かう人間の強さを感じた。その強さの一翼に私が提供した情報もあったのかと思うと不思議な気分だ。
所有者の方の許可を得て、しばらくトレイルカメラを仕掛けることになった。購入して早速の実戦投入だ。柿の木に寄ってきた個体が1個体だけなのか、どこから侵入したのか、柿の木だけでなく集落へ向かった可能性はないかなど、少しでも情報を引き出そう。


