応援したいクラファン「人とシカが共生できる社会へ!市民科学で防鹿柵の効果を見える化する」

Xで興味深いクラファンプロジェクトが流れてきた。タイトルは「人とシカが共生できる社会へ!市民科学で防鹿柵の効果を見える化する

シカによる森林の下草食害は各地で深刻な植生の喪失をもたらしており、生物多様性の劣化、土壌保水性の低下などの影響が懸念されているという。私は全く専門家ではないが、大学の時に講義を受けたりフィールドワークに参加して芦生演習林や屋久島の森に入ったりした経験があるので、シカの食害は身近な課題として認識はしていた。

飛騨に移り住んでからはシカの食害が関西ほど激しくなく、ササ群落が茂っていることに感動した。しかし、かつて大学の先生を招いて実施した環境DNA調査において、広葉樹林の樹木の葉からシカのDNAが検出されたこともあり、「やっぱり徐々にシカが里に出てきているのでは」という懸念は抱いている。私の私有地の山でも、ササ群落は健在であるものの時折シカの門歯で噛み切られたような跡が見つかる。これくらいならまだ問題ないのかもしれないが、来るべきシカとの決戦も頭の片隅には置いといた方がいいのかもしれない。

さて、このクラファンが取り組むのは全国の生態系における防鹿柵の保全効果の検証。シカを防除するための柵を設置することで植生・昆虫・微生物がどのように変化するか科学的に検証し、民間団体の工夫などで得られた知見を共有し、より効果的なシカ柵設置に繋がることが期待できる。調査協力者への器具提供や分析にかかるコストをクラウドファンディングで調達するようだ。

私も自分の山や畑で獣害対策に腐心しているが、確かに柵の張り方ひとつとっても明確な正解はなく、試行錯誤しながら上手く行ったり突破されたりの繰り返し。それ以上の努力をしている方々は全国におられるのだから、それらの知見を共有してみんなで効果的な方法を探っていこうという方向性はとてもありがたい。

主催されている方々も推薦されている方々も著名な研究者ばかりで、私なんぞにとっては雲の上の存在だ。こういった方々の研究遂行力や影響力に比べれば私の貢献など微々たるものにしかならないだろうが、まあカネ出すくらいならできるしな。

とはいえ、調査内容を読むにつれ「せっかくなら調査に協力したい」という気持ちが募ってくる。まだシカ害がそこまで激しくない山を持っているからこそできることもあるのではないだろうか?詳しいことは寄付したうえで主催者に相談してみたいと思う。

野生動物との共存においては、感情的な「愛護」ではなく科学的根拠に基づいた「管理」「保全」をやらなきゃいけない。少なくとも、興味を持つきっかけは「動物が好き」という感情でもいいが、実務に落とし込むには科学的根拠に基づき粛々と進める場面が必ず必要だ。これは私が大学生だった頃から(多分もっとずっと前から)言われていた。近年のシカ食害の深刻化やクマ被害など膨大な犠牲が出たことで、ようやく世間(というか大手マスコミ)にもその認識が浸透してきた感がある。この流れを繋いでいきたい。

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