6ヶ月の長女とふたりで長野へ帰省。妻にはリフレッシュのためひとりで羽を伸ばしてもらうことにした。長女はチャイルドシートに乗っている間はほとんど泣くこともなく、過去にも飛騨から長野まで車で行った実績があったので特に不安はなかった。
朝の授乳を済ませて出発。乗鞍を通る山越えルートで松本に入り、長野自動車道・上信越自動車道を経て須坂長野ICで降りるいつもの経路だ。安房トンネル近辺はカーブが連続するが、長女はチャイルドシートで静かに座っていた。あまりに静かだったので不安になって車を止めては様子を確認したほどだ。
行楽シーズンなので関東から上高地に向かう道は混雑しがちだが、反対方向の飛騨から長野に抜ける道はそこまで混んでおらずスムーズに県境を越えられた。
長野自動車道に乗ったら、まず目指すのは梓川サービスエリア。ここは子連れにとってはありがたいことに、ベビーケアルームが設けられているためだ。ここには授乳用ソファー、ミルク調整用の給湯器、洗い物ができるシンク、オムツ交換用のベッド、使用済みのオムツを捨てるポリ袋とゴミ箱が完備されている。乳幼児を連れて長旅をする時にこういった施設があるのは本当に助かる。連休中なのでフードコートは混んでいたが、ベビーケアルームは運良く空室。防音もしっかりしている室内で落ち着いてミルク調整と授乳、オムツ交換を済ませられた。
自分はベビーケアルームを使うために梓川サービスエリアに立ち寄っていると言っても過言ではないし、同様に多くの乳幼児連れの利用者を救っていると思う。ベビーケアルームの維持管理が末長く続いてほしい、と本心から願う。
サービスエリアから再出発。久しぶりに見る長野の里山は美しい・・・と思いきや、結構衝撃的な眺めを見てしまった。
松本市〜千曲市に広がる高速道路沿いの山には、杉やカラマツらしき針葉樹の植林に混じってアカマツが生えているのだが、このアカマツの葉がことごとく枯れてしまい、ここだけ季節が晩秋なのかというほどに禿げ上がっていた。写真はスマートグラスで咄嗟に撮ったものなので画質は荒いが、それでも山がまだらに禿げているのが見て取れる。

これがマツノザイセンチュウによって引き起こされ、マツノマダラカミキリが媒介するという松くい虫病か!学生の頃に講義や演習で学んでから注意して見ていたが、これはもうほとんど全滅なんじゃなかろうか・・・
自分が松くい虫病について学んでからそれなりに年数が経っているので、当時とはいろいろ状況が変わっているかもしれないと思い、行政が発行しているサイトや刊行物も改めて読んでみた。この病気は長野県内で2013年頃にピークを迎えて一度はピークアウトしたが、近年また増えてきているようだ。被害木を回復させる方法はないので、被害木の伐倒・燻蒸や、媒介するマツノマダラカミキリの駆除によって拡大を防ぐ対策がとられている。
遠目でもほぼ全滅と分かるほど被害が広がっている山もあったが、ここまでくると森林の水分保持能力の低下や表土の流亡が進み、豪雨時の被害増大に繋がらないかと心配になる。マツタケが採れなくなる経済的損失ももちろんあるだろうし。
松枯れの広がる山々を越えて無事に実家に到着。実家は盆地の中の住宅地にあるので里山ははるか遠くにしか見えないが、それでも時々あの痛々しい山の景色がふっと頭をよぎる。
長女が大人になるとき、日本の里山にはどんな植生が広がっているのだろうか。自分も飛騨の山以外は最近あまり入っていないので、まず現状をよく知らない。現地を見たり行政の資料をチェックしたりして情報をアップデートしていかないとな、と思わずにはいられないほど、アカマツが禿げ上がった光景は衝撃的だった。

