ポポーの季節がやってきた

未分類

地元の秋祭りを無事に終えて飛騨へ戻る道中、松本市の道の駅「風穴の里」に立ち寄った。乗鞍を超えて高山市に抜ける曲がりくねった山道における貴重な休憩スポットだ。

風穴の里には野菜や果樹の直売コーナーが設置されており、季節によって様々なものが並んでいる。過去にはイワタケが販売されていたこともあり何が並んでいるか気になって時々覗いている。

すると思いがけず出会ったのが、パック詰めされたポポーの実。そういえばそろそろ季節だったな!とハッとした。握りこぶし大の青白いアケビのような果実が1パックあたり4〜5個入っており、持ち上げるとずしりとくる。この未熟な台湾バナナを超え太らせたような姿をしたポポーという果実、なかなか癖のある味だが南国系の強烈な風味がある珍味なのだ。

ポポーは北米原産のバンレイシ科の落葉広葉樹。明治時代に日本へ移入され、耐寒性が非常に高いことから中山間部で栽培された。有機溶剤のような独特の香り(バナナとマンゴーを混ぜてドリアンをひとつまみ足し、景気付けに酢酸エチルをぶちまけたような感じ)はあまり万人受けせず、保存性も高くないことから、あまり市場には流通しなかった。しかし飛騨や信州のような豪雪地帯でも路地栽培できるほど強靭な果樹であるため、雪国の農村で育った人々の中には子供の頃に食べた懐かしい果物として記憶に残っていることも多いらしい。

私は学生の頃に、三重県でのフィールドワーク中に地元の方からポポーをいただいて初めて食した。紅葉した木立が秋の霧に濡れる日本の農村とはおよそ場違いにも思える、強烈な南国系の味にパンチを喰らわされるような感動というか衝撃を受けた。味も割と好みだったので、それ以降道の駅などでたまたま出荷されていることがあれば買うようにしていた。

自分でも栽培しようと思って苗木を植えたことも何度かあったのだが、雪で折れてしまい失敗に終わった。雪対策を習得して再挑戦してみたいとは思っている。

さて、勢いて2パック買ってしまったポポーを手土産に帰宅。キッチンのテーブルに置いて娘を風呂に入れている間に、キッチンにポポーの臭気が充満していた。包丁を入れてみたが、硬い種が刃先に当たってスムーズには切れない。果実の表面にぐるりと切り込みを入れてから、手で捩じ切るようにして真っ二つにした。断面は鮮やかな山吹色。有機溶媒のような香りが一層強まる。そういえばこの香り、中国の蒸留酒のパイチュウ(白酒)に若干似ているな。

半分に切った果実をそれぞれ4等分くらいに切り分け、皮を剥いて更に盛る。なるほど、別名アケビガキと呼ばれるように、山吹色の果肉と大きい種子が柿のようだ。

久しぶりのポポーをおそるおそる口に運ぶ。この入り口で人を選ぶ媚びない強烈な香り、口に入れるや溶け出す柔らかくジュシーな果肉、口内に広がる熟れすぎたマンゴーのような香り、若干下に残るザラつく食感。そう、これを期待していた。全く万人受けする気のない我が道行くタイプの味だが、ハマると病みつきになる。

妻もひと切れ初挑戦。美味しい、けど好んでは食べない…とのことだった。確かに私もこれを毎日食べ続けるのはちょっとな…というのが正直なところ。たまに食べる希少な果実だからこ強烈な個性がギリギリ許されてる感はあるぞ、ポポー。

本日切って食べたのは2個。いっぺんに食べたらパイチュウのような風味で若干酔っ払ったような心地よさがあった。あと6個チルドに入っているんだが、あんまり日持ちもしないので生食だけでなくジャムにしてみてもいいかも知れない。

Follow me!

タイトルとURLをコピーしました